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クリエイティブという矛盾点

僕は青山学院出身、当時の青山学院経済学部の最大の使命は、箱根駅伝で常勝軍団を作ることではなく、渋谷の再開発だった。僕が東京を出たのは2012年、一度生まれたての息子と妻と三人で渋谷ヒカリエに行ったことを覚えている。

渋谷の再開発は、一冊の本が根拠となっている。リチャードフロリダ「クリエイティブ都市論」だ。要約すれば、これから第三の階級としてクリエイティブクラス、と呼ばれるものが現れる。その医者やコンサルを抑えて勝ち組一位に輝くのはクリエイターだと。

フロリダの本にはインパクトがあった。世界中の都市は渋谷のようにビルが乱立し、職業もクリエーターになりたいという人が大勢現れるようになる。日々TikTokでクリエイターが作った動画を視聴し、自分の生活をInstagramで投稿する、そんな生活が当たり前になる。まさに現代を予言したかのような本だった。

フロリダの影響は僕のような一市民を啓蒙するだけでなく、行政や国の方針にも影響を及ぼした。渋谷や福岡天神に行ってみればわかるが、ビル一棟で3000億円ほどするので、投資額は国内だけでも数兆円、世界で見ると何百兆円にも達するだろう。


ここまでは前置で、そして僕は何をいいたいのかというと、リチャードフロリダが言っていることが虚構だと数年前に気づいていた。

現にクリエティブクラスなど世に存在しない。クリエイターと呼ばれる人はどのような生活をしているだろう。僕から見ると、家庭を持っていない人、付き合っている人がいない人が多すぎる。クリエーターや芸術家は日本では特に儲からない。家庭を築いていくのには何千万というお金が必要になる、そんなお金どこにあるというのだろうか。

そして国や行政、デベロッパーまでもクリエイティブなまちづくりに完全に舵を切ってしまった。渋谷にはグーグルがとあるビルに入っていて、福岡天神のビルにもグーグルが入ったことで安泰だと思っている。そもそもグーグルほどの会社は家に帰れないほど忙しい。むしろグーグルの働き方こそクリエイティブクラスの真の姿である。とにかく過酷で、人生を削らないといけない。そして現実では、その渋谷のビルにはグーグル以外は単なる企業しか入居していない。ビルを建ててもクリエイティブな会社が入るとは限らない。

僕がフロリダの嘘を感じたのは、マーケティングについて学ぶ上でクリエイティブ、イノベーションというものを改めて考えたからだ。クリエイティブとは何なのか。それは、全く新しいことを発想することではない。それは既存知の組み合わせを考えること、つまり、元からあったものと別の何かを組み合わせること、これにすぎない。

最後に自分の立場も踏まえないといけない。僕自身写真を撮影することで生業を立ててきた。僕は時代がよかったのか、子も13歳になろうとしている。この間、短い間だったが野村證券などで働く機会を得た。そこの入社式で「一生勉強だ」と言われた。そのことを今でも忠誠忠実に守っている。そこで仕入れた政治経済の仕組みや、はたまた妻の専攻の社会学など今でも学んでいる。

子どもを中学に入れてもまだまだ豊かな生活をしている。これが現実だ。僕たちはリチャードフロリダのクリエイティブクラスという矛盾を非常に早く突いていた。それが僕たちの立場であり、僕は単に写真が上手い父になった。僕の撮影料が安いのは、技術が悪いからではない、経営学的に考えてこの値段にしている。

時代はどうなるだろう。何かあったときに、大切な何かを残せるだろうか。

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